相続が発生した際、預貯金口座の解約手続きは煩雑で、多くの人にとって大きな負担となります。特に金融機関とのやり取りでは、提出書類の確認や対応に時間がかかることが少なくありません。この記事では、相続による預貯金口座の解約手続きについて、金融機関とのやり取りに焦点を当てて詳しく解説します。

相談者様

金融機関とのやり取りは、どのような流れで進めれば良いのでしょうか?

むとう事務所

まずは、必要書類を揃えて窓口に出向き、担当者とやり取りを行うことから始まります。各金融機関で求められる書類が異なることもあるので、事前確認が大切です。


金融機関への事前確認

相続手続きの初期段階で、金融機関への事前確認が必要です。金融機関ごとに求められる書類や手続きの流れが異なることが多いため、直接窓口で詳細を聞くか、公式サイトを確認しておきましょう。

必要書類の例

  • 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 印鑑証明書
  • 銀行届出印
  • 預貯金通帳やキャッシュカード
  • 遺産分割協議書

相談者様

必要書類は揃えたのですが、提出してからどれくらいで手続きが終わるのでしょうか?

むとう事務所

金融機関によりますが、一般的に1~2週間ほどかかることが多いです。ただし、書類の不備があると更に時間がかかることもあります。


金融機関への提出とその後のやり取り

必要書類を揃えたら、金融機関の窓口に提出します。提出後、金融機関は書類の確認を行い、不備がない場合に手続きが進行します。しかし、不備があった場合には再提出や追加書類の提出が求められることがあります。

また、預貯金のみの相続の場合は遺産分割協議書がなくても口座の解約は可能ですが、金融機関の用意する「相続手続き依頼書」に相続人全員の署名と実印での押印、印鑑証明書の添付が必要となります。

解約した預貯金の受取方法

相続預金の受け取り方法には、以下の2つの方法が一般的です。

  1. 代表相続人が代表して預金を受け取る方法
    • 相続人の中から1名が代表として預金を受け取る方法です。多くの金融機関で認められている方法であり、相続人全員の同意が得られれば比較的スムーズに進むケースが多いです。
  2. 相続人が共同して預金を受け取る方法
    • 相続人全員が共同して預金を受け取る方法です。この方法を認めている金融機関もありますが、全てではありません。特に複数の相続人が関与する場合は手続きが煩雑になることがあるため、事前に各金融機関の方針を確認しておくことが重要です。

このように、相続預金の受け取り方法は金融機関ごとに異なる場合がありますので、具体的な手続きを始める前に、各金融機関に問い合わせて条件や必要書類を確認することをおすすめします。


解約までの注意点

預貯金口座の解約は、相続人の確定から必要書類の準備まで、複数のステップを経て行われます。特に、預貯金額が大きい場合は、相続税の申告とも関わるため、税理士など他の専門家との連携も検討が必要です。

また、預貯金口座の解約を司法書士などの専門家に依頼する際は、金融機関によって委任状などの様式が異なる場合があります。そのため、事前に金融機関へ確認を行うことが重要です。

預貯金口座が不明な場合

相続手続きにおいて、被相続人が保有していた預貯金口座の詳細がわからないことは少なくありません。このような場合、以下のような方法で預貯金口座の調査を検討すると良いでしょう。

1. 各金融機関への問い合わせ
一度の照会で全国すべての金融機関の口座を確認する仕組みは現在ありません。そのため、被相続人が利用していた可能性が高い金融機関に個別に問い合わせを行うのが基本です。遺品整理で見つかった通帳や、金融機関からもらったタオルやカレンダーなどの粗品を手掛かりに、問い合わせを進めると良いでしょう。特に、高齢者は「ゆうちょ銀行」を利用していることが多いため、確認しておくと役立ちます。

相談者様

問い合わせる際に何か注意点はありますか?

むとう事務所

はい。金融機関によって求める書類が異なるので、問い合わせの際には事前に必要書類を確認しておくとスムーズです。また、電話での事前確認も効率的ですので、活用すると良いでしょう。

2. 法定相続情報証明制度の活用
平成29年に開始された「法定相続情報証明制度」により、一覧図の写しを用意すれば、各種金融機関での照会において複数の戸籍謄本を揃える必要が省かれる場合があります。これにより、手続きの負担を軽減できますので、ぜひ活用を検討してください。

3. 地域の有力な金融機関への問い合わせ
被相続人が特定の地域で長期間生活していた場合、その地域の地銀や信金などの主要金融機関に口座がある可能性も考えられます。例えば、千葉県であれば「千葉銀行」や「京葉銀行」などが該当します。

これらの方法を組み合わせて、被相続人の預貯金口座を特定し、相続手続きを円滑に進めましょう。

まとめ

相続による預貯金口座の解約は、書類の準備だけでなく、金融機関とのやり取りが重要です。事前に情報を収集し、適切に対応することで手続きをスムーズに進めることができます。専門家への相談も視野に入れ、安心して相続手続きを進めましょう。