株式や有価証券の相続手続きは、預貯金の相続と異なり、証券会社とのやり取りが中心となります。ここでは、株式相続の具体的な手順や注意点について詳しく解説します。
証券会社との連絡方法
株式の相続手続きって、まず何をすれば良いですか?
まずは、被相続人が利用していた証券会社に連絡を取り、手続きの詳細を確認することが重要です。必要書類や流れが会社によって異なるため、あらかじめしっかり情報を集めておくとスムーズです。
証券会社に連絡を入れる際、被相続人の口座情報や保有株式の情報を把握しておくとスムーズです。口座がどこの証券会社にあるか分からない場合は、次に紹介する調査方法を試してみましょう。
証券口座を特定する方法
故人がどこの証券会社で口座を保有していたか分からない場合は、次の方法で調査が可能です。
1. 遺品や電子機器の確認
遺品の中に銀行通帳や証券会社のカードがあれば、それが証券会社を特定するための手掛かりになります。銀行の通帳明細に証券会社への入出金履歴が残っている場合もあるため、確認しましょう。また、スマートフォンやPCには証券会社のアプリやブックマーク、証券会社からの取引報告書などがメールフォルダに残っている可能性もあります。さらに、証券会社からの書類や通知、口座番号の記載がある資料が見つかれば、証券会社の特定に役立ちます。
2. 【有料】証券保管振替機構(ほふり)での開示請求
証券保管振替機構(ほふり)に開示請求を行うことで、故人が保有していた証券会社や信託銀行の情報を確認できます。国内の上場株式、ETF、REIT等の保有口座があるかを一括で調査できるため、効率的な手段です。請求には1件当たり6,050円(税込み)の費用がかかります。
なお、ほふりの開示請求では、株式の残高や取引の詳細は確認できません。また、投資信託や外国株式、対象外の非上場株式については分からないため、それらの取引がある場合には、個別に各金融機関へ問い合わせを行う必要があります。
3. 証券会社への問い合わせ
証券会社が特定できた場合、その会社に連絡して相続手続きを進めます。照会には「口座照会依頼」と「残高証明書等作成依頼」があり、必要に応じて株式の残高や取引状況の確認を依頼することができます。
必要書類の準備
多くの証券会社で必要とされる書類は次の通りです
- 被相続人の戸籍謄本(出生から死亡まで)
- 相続人全員の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(株式や有価証券の取得が記載されているもの)
- 相続人の印鑑証明書
- 相続手続きを行う代表相続人の本人確認書類
遺産分割協議書が必要になる場合もあるんですね。
はい、特に株式や有価証券の相続では、代表相続人が他の相続人から同意を得て手続きを進めるケースが多いです。協議書が必要かどうかは、証券会社に事前に確認しておきましょう。
株式の移管と売却
相続した株式は、相続人名義の証券口座に移管するか、売却するかのいずれかの手続きを進めることができます。ただし、証券口座を相続するためには、相続人名義の証券口座が必要です。証券口座を持っていない相続人は、証券会社に新たな口座を開設する必要があります。
株式を売却せずに名義変更した後、相続人の口座で保有し続けることも可能です。また、口座を解約したい場合は、一旦相続人名義の証券口座に移した後で解約手続きを進めることになります。
株式以外の注意が必要なケース
未受領の配当金
株式の配当金も相続の対象です。配当金領収書が遺品にある場合は、配当金を受け取るための手続きが必要です。管理は信託銀行が行っているため、未受領の配当金があれば信託銀行へ問い合わせましょう。
非上場株式
故人が保有していた非上場株式も相続の対象です。非上場株式については、株式発行会社に連絡を取り、相続手続きを進める必要があります。また、特定の非上場株式については、ほふりで調査できる場合もあるため、あわせて確認しましょう。
海外の株式
故人が海外の金融機関で株式を保有していた場合、現地の手続きに従う必要があるため、海外資産に詳しい専門家に相談するのが安心です。
故人が保有していた株式の種類 | 対応方法 |
---|---|
非上場株式 | 株式発行会社に確認 |
未受領の配当金がある上場株式 | 信託銀行に確認 |
紙の株券(タンス株)や電子化前の単元未満株 | 信託銀行に確認 |
海外の金融機関で保有する株式 | 海外の金融機関or専門家に確認 |
まとめ
株式や有価証券の相続手続きは、金融機関との手続きとは異なり、証券会社とのやり取りが中心です。相続が発生した際には、まず故人の証券口座を特定し、証券会社に必要な書類や手続きを確認しましょう。また、株式の相続では未受領配当金や非上場株式、海外株式の手続きも必要になる場合があるため、それぞれのケースに応じた対応が求められます。
相続手続きに不安がある場合は、専門家のサポートを受けることで、手続きをよりスムーズに進められるでしょう。