
任意後見契約を結んでおけば、将来の財産管理や手続きは安心なんでしょうか?

任意後見契約はとても有効な制度ですが、それだけではカバーしきれない部分もあります。判断能力が低下する前からのサポートや、亡くなった後の手続きまで考えると、ほかの制度と組み合わせることが重要です。
任意後見契約の限界と補完制度の活用
任意後見契約は、本人の判断能力が低下した後に効力を発揮する契約ですが、その前後の対応には不十分な面もあります。そこで、以下のような制度と組み合わせることで、より安心したサポート体制を作ることができます。
① 財産管理等委任契約(判断能力がある間の財産管理)
任意後見契約は、本人の判断能力が低下してから効力を発揮します。しかし、それ以前の段階で体調不良や入院などにより、銀行手続きや支払いができなくなることもあります。そのため、事前に**「財産管理等委任契約」**を結んでおくことで、判断能力が十分なうちから信頼できる人に財産管理を任せることができます。
財産管理等委任契約のメリット
✅ 判断能力があるうちからサポートを受けられる
✅ 特定の手続きだけを委任できる(例:家賃の支払い、通帳管理など)
✅ 医療契約や介護契約などの手続についても委任が可能
注意点
- 金融機関により対応に時間がかかることがある
- 公正証書で作成するのが望ましい(金融機関への証明のため)

任意後見契約が発動する前に、財産管理を頼める契約なんですね。

はい、例えば銀行の手続きをスムーズに行うために、事前に準備しておくと安心です。
② 見守り契約(定期的な関係維持)
見守り契約とは、定期的に専門家と連絡を取り、判断能力の低下がないかをチェックしてもらう契約です。
見守り契約のメリット
✅ 認知症などの判断能力低下に早めに気づける
✅ 疎遠になってしまうリスクを減らせる
✅ 任意後見契約がスムーズに発動できる
注意点
- 本人の健康状態を見守るだけの契約であり、財産管理は含まれない
- 本人の体調や考えに合わせて変更がしやすいように、私署証書で作成すると良い
③ 死後事務委任契約(亡くなった後の手続き)
任意後見契約や財産管理等委任契約は、本人が生きている間の管理を対象としています。**しかし、亡くなった後の手続き(葬儀や納骨など)はカバーされません。そこで、「死後事務委任契約」**を活用することで、亡くなった後の手続きもスムーズに進めることができます。
死後事務委任契約で対応できること
✅ 葬儀や納骨の手配
✅ 役所への届出(死亡届は後見契約もしている場合)
✅ 未払いの医療費や公共料金の精算
注意点
- 遺言書では死後事務を委任することはできない(遺言事項は法定されているため)
- 信頼できる人に依頼することが大切

亡くなった後の手続きも、家族に負担をかけずに済む方法があるんですね。

はい、親族がいない場合や疎遠の場合などは特に、この契約を検討される方が多いです。
まとめ
✅ 任意後見契約だけではカバーできない部分があるため、補完制度を活用することが大切
✅ 「財産管理等委任契約」を結ぶことで、判断能力があるうちから財産管理をサポートできる
✅ 「見守り契約」を活用すると、任意後見契約がスムーズに発動できる
✅ 「死後事務委任契約」を結んでおくと、亡くなった後の手続きも安心
任意後見契約を検討されている方は、こうした補完制度もあわせて活用することで、より安心した将来設計が可能になります。詳細については、ぜひ当事務所までご相談ください。