相談者様

遺言書を書くときに、どんなことに気をつけたらいいですか?

むとう事務所

遺言書は書き方によって、相続がスムーズに進むかどうかが決まります。内容によっては、思わぬトラブルの原因になることもありますので、いくつか重要なポイントをご紹介します。


1. 相続分の割合だけを記載した場合の注意点

遺言書に「相続分は〇%ずつ」と割合のみを記載すると、どの財産を誰が相続するかは決まらず、最終的に相続人全員で遺産分割協議をする必要があります。
特に不動産が含まれる場合、協議が難航するケースもありますので、できるだけ具体的に記載することをおすすめします。


2. 生前贈与の考慮(特別受益の持戻し免除)

相続人のうち特定の人に生前贈与をしていた場合、それを相続財産に含めるかどうかを決める必要があります。
「持ち戻しを免除する」と遺言書に記載すれば、その生前贈与分を考慮せずに相続を進めることができますが、遺留分を侵害する可能性があるため注意が必要です。


3. 遺留分侵害額請求への配慮

遺留分とは、法定相続人(配偶者や子など)に最低限認められた相続分のことです。
遺留分を侵害する遺言を残すと、他の相続人が遺留分侵害額請求を行う可能性があります。
遺言書に「遺留分侵害額請求があった場合、誰の財産から負担するか」を指定しておくことで、争いを回避できる可能性があります。


4. 配偶者居住権を設定する場合

配偶者が安心して住み続けられるようにするため、**「配偶者居住権を遺贈する」**と記載することが重要です。
単に「相続させる」とすると、法律上の解釈が不明確になる可能性があります。


5. 負担付遺贈の活用

「長男に多く相続させる代わりに、母親の介護をする」など、特定の義務を課す内容の遺言を作成することができます。
義務が履行されない場合は、家庭裁判所に遺言の取消しを請求することも可能です。
また、遺言執行者を指定しておくことで、義務が適切に履行されるか監督することができます。


6. 予備的遺言(相続人が先に亡くなった場合への備え)

遺言者が指定した相続人が、自分より先に亡くなった場合を想定し、代わりの相続人を指定することも有益です。
例えば、「長男が先に亡くなった場合は、孫に相続させる」と記載しておくことで、遺言が無効になるのを防ぐことができます。


7. 付言事項(家族へのメッセージ)

付言事項とは、法的な効力はありませんが、遺言者の思いや感謝の気持ちを記載するものです。
「この財産はこういう思いで分けました」と伝えることで、相続人同士の争いを防ぐ効果があります。
特に、「なぜこのように遺言を作成したのか」を説明しておくことは非常に重要です。


8. 換価して精算分配する場合

財産をすべて売却(換価)し、現金化したうえで分配することも可能です。
ただし、不動産の売却には譲渡所得税が発生する可能性があるため、相続人の税負担も考慮しておく必要があります。


9. 自筆証書遺言の活用

緊急時に公正証書遺言を作成できない場合、自筆証書遺言を作成することもできます。
しかし、紛失のリスクや、内容に不備があると無効になる可能性があるため、慎重に取り扱う必要があります。
現在では「法務局の自筆証書遺言保管制度」もあるため、利用を検討すると良いでしょう。


10. 債務の承継

遺言書に「誰がどの借金を引き継ぐか」を記載することは可能ですが、債権者には対抗できません
つまり、特定の相続人に借金を引き継がせると書いても、債権者が認めない場合は他の相続人にも請求される可能性があります。
そのため、相続人間での取り決めとして記載する形になります。


11. 寄付の活用

遺産の一部を慈善団体などに寄付することで、寄付分には相続税がかからないというメリットがあります。
ただし、寄付先が受け入れてくれるかどうかを事前に確認しておくことが重要です。


まとめ

遺言書は、相続をスムーズに進めるために重要な役割を果たします。
しかし、記載内容によっては争いの原因になったり、思い通りに財産を分けられなかったりすることもあります。

むとう事務所では、ご希望に沿った遺言書の作成をサポートいたします。
公正証書遺言の作成や、遺言執行者の指定についてもお気軽にご相談ください。

初回相談は無料ですので、ぜひ一度お問い合わせください!