

父の遺言書を見つけたのですが、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要だと聞きました。どんなものですか?

検認は、遺言書を見つけたときに行わなければならない重要な手続きです。詳しくご説明しますね。
検認とは?
検認とは、遺言書の偽造・変造を防ぐために行う手続きです。具体的には、遺言書の形状・状態・加除訂正の有無などを確認し、相続人全員に遺言書の存在と内容を知らせる役割があります。
注意したいのは、検認は遺言の有効・無効を判断するものではないということです。たとえ検認が済んでいても、内容の不備などにより、遺言自体が無効になる場合もございます。

自筆の遺言書は必ず検認しないといけないんですか?

自筆証書遺言を見つけた場合、家庭裁判所への検認申立が必要です。ただし、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用している場合は、検認が不要になります。
検認の流れ
検認の手続きは、次のような流れで進みます。
通常、申立てから検認期日までには1~2か月程度の期間がかかることが多いです。
- 検認申立て
遺言書の保管者や発見者が、遺言者の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
- 検認期日の通知
裁判所から相続人全員に検認期日の通知が届きます。なお、全員が揃わなくても検認は可能です。
- 検認当日
封印がされている遺言書は、このとき裁判所で初めて開封されます。裁判官が遺言書の状態を確認します。
- 検認終了
手続き完了です。1通150円で「検認済証明書」を取得できます。
申立てを行う人と場所
- 申立人
遺言書の保管者、または遺言書を発見した相続人など。 - 申立先
遺言者の最後の住所地の家庭裁判所が管轄になります。
管轄の家庭裁判所は、以下の裁判所HPの管轄区域のページから調べることができます。
必要な費用
- 収入印紙 800円(遺言書1通あたり)
- 連絡用の郵便切手(裁判所ごとに異なる)
郵便切手等の費用は管轄の裁判所によりことなることもありますので、事前に問い合わせをしておくと当日の支払いがスムーズになるでしょう。
検認の必要書類
- 遺言者の出生から死亡までの戸籍
- 相続人全員の現在戸籍
※相続人の中にすでに亡くなっている方がいる場合、追加の戸籍が必要となることもあります。
まとめ
遺言書の検認は、自筆証書遺言を見つけた場合に必要となる手続きです。検認は、遺言の内容の有効・無効を判断するものではなく、偽造や変造を防ぐための確認手続きですので、この点は誤解しないよう注意が必要です。
申立てには戸籍などの書類集めが必要で、手続き完了までには1~2か月ほどかかります。初めての方には難しく感じることもあると思いますので、不安な点があれば早めに専門家に相談するのがおすすめです。
相続や遺言書の手続きでお困りの方は、司法書士法人むとう事務所までお気軽にお問い合わせください。