

父の遺産に不動産が含まれているんですが、遺留分を計算する場合、どの価格で計算されるんでしょうか?

不動産の評価方法はいくつか種類があります。それぞれ特徴があるので、順番に説明しますね。
目次
不動産評価の主な方法
遺留分を算定する際に使われる不動産の評価方法には、主に次の5つがあります。
評価方法 | 特徴 |
---|---|
路線価 | 公示価格の約80%。国税庁が毎年発表し、相続税評価に使われる。 |
固定資産税評価額 | 公示価格の約70%。市区町村が固定資産税課税のために評価。 |
公示価格 | 国や都道府県が毎年決定する基準価格。 |
時価 | 実際の売買で通常成立すると認められる価格。公示価格より高いことが多いが、立地や事情によっては低くなることもあるので注意が必要。 |
不動産鑑定評価額 | 専門の不動産鑑定士による評価額。 |
遺留分請求の際の評価方法
どの評価方法を採用しないといけないという決まりはありません。
ですが、それぞれの立場により自身が有利になる評価方法が異なりますので、総合的な観点から評価方法を算定することをおすすめします。
- 請求する側(遺留分を主張する側)
できるだけ高い評価方法を主張することが多い。 - 請求される側(相続人や遺言で多くを受け取った側)
できるだけ低い評価方法を主張することが多い。 - 話し合いや調停の場合
双方の主張の中間額で合意することが多いです。
遺言を作成する際の注意点
遺留分を意識して遺言を作成する場合は、固定資産税評価額や路線価など、比較的低めの評価額で計算しておくと無難です。ただし、地域や物件によっては時価がさらに低い場合もあるため、最新の情報を確認することが重要です。
事前に話し合いが可能であれば、どの評価方法を採用するかを協議したうえで遺言書を作成すると安心でしょう。
計算の基準時期に注意
遺留分の計算には、「亡くなった時点の不動産の価格」を用います。
遺言作成時から相場が下がっている場合、予想より評価額が低くなることもありますので注意が必要です。
まとめ
評価方法を決定する際には複数の評価方法を確認したうえで決定すると良いでしょう。
それぞれの立場や状況によりどの評価方法を採用するべきかは異なりますので、できれば関係者で話し合いをしたうえで決定できると安心です。
まとめ
- 不動産の評価方法は5種類あり、それぞれ特徴が異なる。
- 請求側と被請求側で主張が分かれやすい。
- 調停では中間額での合意が多い。
- 遺言作成時は低めの評価額を参考にしておくと安心。
- 計算は死亡時点の価格が基準になるため、相場の変動にも注意。
遺言書や相続手続きについてお困りの際には、司法書士法人むとう事務所までお気軽にご相談ください。