相続とは?
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や権利・義務を、残された家族や親族が引き継ぐことを言います。
相続の対象には、現金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。
相続は、被相続人が亡くなった瞬間から開始され、法律で定められた相続人がその権利を引き継ぐことになります。
民法896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。
相続の手続きやルールは民法などの法律によって定められており、これを正しく理解することで、適法な相続手続きが可能になります。
安心して財産を受け継ぐために、正しい相続の理解が重要となります。
相続の流れ
相続が発生すると、相続人は様々な手続きを行う必要があります。
以下は、相続の一般的な流れです。
- 相続の開始(被相続人の死亡)
相続は、被相続人が亡くなった時点で開始されます。
この時点から、相続人は相続に関する手続きを進める必要があります。 - 死亡届の提出
被相続人が亡くなったことを市区町村役場に届け出ます。
通常、死亡後7日以内に提出する必要があります。 - 遺言書の確認
被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認します。
遺言書の有無や内容により、相続人の確定や遺産分割の方法が異なるため、早期に確認することが重要です。
※遺言書の有無がわからない場合 - 相続人の確定
戸籍謄本を取得して法定相続人を確定します。
- 相続財産の確認と評価
被相続人が残した財産(不動産、預貯金、株式、借金など)をリストアップし、その価値を評価します。
ここで、マイナスの財産(借金など)が多い場合、相続放棄を検討することが重要です。 - 相続放棄の検討
マイナス財産がプラス財産を上回る場合、相続放棄を検討します。
相続放棄をする場合、相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。 - 遺産分割協議
相続人全員で話し合い、遺産分割をどのように行うかを決定します。
遺言書がある場合は、基本的にその内容に従います。
ただし、相続人全員の同意があれば、遺言書の内容とは異なる分割を行うことも可能です。 - 財産の名義変更手続き
不動産の名義変更や預貯金の解約・名義変更、株式の名義変更など、各財産の名義変更を行い、相続財産を正式に相続人へ移転します。
- 相続税の申告と納税
相続税の基礎控除額を超える場合は、相続税の申告が必要です。
申告と納税は、相続開始を知った日から10ヶ月以内に行う必要があります。 - 相続手続きの完了
全ての手続きを完了した時点で、相続手続きが完了します。必要な書類や証明書は大切に保管しておきます。
必要な手続き
被相続人がお亡くなりになった後、様々な機関に対して手続きが必要となります。
各手続きごとの期限と提出先を整理してご紹介いたします。
手続き | 期限 | 提出先 |
---|---|---|
死亡届 | 7日以内 | 市区町村役場 |
世帯主変更届・国民健康保険・国民年金 | 14日以内 | 市区町村役場 |
自動車の名義変更 | 15日以内 | 運輸局・軽自動車検査協会 |
相続放棄 | 3ヶ月以内 | 家庭裁判所 |
所得税の準確定申告 | 4ヶ月以内 | 税務署 |
相続税の申告 | 10ヶ月以内 | 税務署 |
遺留分請求 | 1年以内 | 財産を受け取った相続人 |
不動産相続登記 | 3年以内 | 法務局 |
遺族年金 | 5年以内 | 市区町村役場・年金事務所 |
上記手続内容のリンクから、詳細をご確認頂くことができます。
相続人になる人
1.相続人の基本的な考え方
相続人には、民法で定められた法定相続人が存在します。
相続人は、被相続人との親族関係によって順位が決まっており、順位が高い相続人が優先されます。

2.相続人の順位と割合
配偶者の相続権
配偶者は常に相続人となり、下記の第1順位~第3順位の相続人と共に相続財産を分け合います。
配偶者が相続人になる場合、その相続分は法定相続人の順位に応じて変わります。
第1順位:子供(直系卑属)
被相続人に子供がいる場合、子供が第1順位の相続人となります。
子供が複数いる場合は、相続財産を均等に分け合います。
もし子供が既に亡くなっている場合、その子供(被相続人の孫)が代襲相続します。
第2順位:両親(直系尊属)
被相続人に子供がいない場合、被相続人の両親が第2順位の相続人となります。
両親が健在であれば、相続財産を均等に分け合います。
第3順位:兄弟姉妹
被相続人に子供も両親もいない場合、兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。
兄弟姉妹が複数いる場合、相続財産を均等に分け合います。
兄弟姉妹が既に亡くなっている場合、その兄弟姉妹の子供(被相続人の甥・姪)が代襲相続します。
3.相続割合の具体例
例1: 配偶者と子供が相続人の場合
配偶者が1/2、子供が1/2の割合で相続します。
子供が複数いる場合、子供の相続分は均等に分けられます。

例2: 配偶者と両親が相続人の場合
配偶者が2/3、両親が1/3の割合で相続します。
両親が健在であれば、1/3を均等に分け合います。

例3: 配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合
配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4の割合で相続します。
兄弟姉妹が複数いる場合、1/4を均等に分け合います。

主な相続財産
1.相続財産とは?
相続財産とは、被相続人が所有していた一切の財産及び債務を指します。
具体的には以下のようなものが相続財産に含まれます。
現金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金や未払金などのマイナスの財産も含まれる点に注意が必要です。
主なプラスの財産 | ・現金 ・預貯金 ・有価証券(株式など) ・動産(自動車、貴金属など) ・被相続人が受取人となる保険金 ・損害賠償請求権 |
主なマイナスの財産 | ・ローン、借入金 ・未払金(医療費、税金など) ・損害賠償債務 ・保証債務 |
2.相続財産に含まれないもの
被相続人の一身に専属した権利義務は相続財産から除かれます。
具体的には、年金受給権や生活保護を受ける権利などがございます。
また、墓地や仏壇などの祭祀財産に関しては、一般の相続財産とは異なり祖先の祭祀を主宰する人が承継することとされています。
3.相続財産の整理
被相続人の相続財産を確認でき次第、相続財産の目録(紙などに財産を書き出し整理したもの)を作成することをおすすめします。
財産目録を見ながら相続人間で話し合いをすることで、その後の遺産分割協議がスムーズに進行しやすくなります。
相続税について
1. 相続税とは?
相続税は、被相続人の財産を相続または遺贈によって受け取る際に、その財産に対して課される税金です。相続税の対象となる財産には、不動産、現金、預貯金、株式などが含まれます。
2. 相続税の基礎控除
相続税には基礎控除が設定されており、この金額を超える相続財産がある場合にのみ相続税が課されます。
基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算されます。
例えば、法定相続人が3人いる場合、基礎控除額は4,800万円となります。

3. 相続税の申告と納税
相続税が課される場合、相続の開始を知った日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税を行う必要があります。
期限内に申告や納税を行わなかった場合、延滞税や加算税が課されることがありますので、注意が必要です。
4. 相続税の申告が必要となる割合
ご相談にいらっしゃる方の中でも、相続財産の価格が相続税の基礎控除額以内に収まり、相続税の申告が必要とならないケースがほとんどです。
申告が必要となる方の割合はおおよそ10人に1人程度といった感覚です。
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